日本輸血学会雑誌
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2004年度輸血関連総括アンケート調査報告
輸血部門の管理体制および輸血療法委員会に関する調査
高橋 孝喜稲葉 頒一半田 誠坂本 久浩比留間 潔河原 和夫松崎 道男窪田 良次程原 佳子今中 雄一大塚 節子紀野 修一高松 純樹佐川 公矯
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2006 年 52 巻 3 号 p. 414-421

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抄録

「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」に医療関係者の責務と明記された「安全かつ適正な輸血」の実施状況及び課題を把握するため, 輸血管理体制及び輸血療法委員会に関する調査を含む輸血関連総括的アンケート調査を2004年度に実施した.
300床以上で血液製剤使用量が3,000単位以上の全医療機関777を含む1,355病院を対象とし, 829施設 (61.2%) より回答を得た. 輸血部または検査部による輸血検査・輸血用血液の一元管理体制は, 各々164施設 (19.9%), 513施設 (62.1%) において確立し, 輸血療法委員会あるいは同様の機能を持つ委員会が733施設 (88.7%) に設置されていたが, 同委員会の中心となるべき専任の輸血責任医師が任命されている施設は86施設 (10.5%) と少なかった (表2, 表4).
医療機関の病床数及び輸血責任医師の専任, 兼任, 不在により分類した5群 (表1) における血液製剤の使用量, 廃棄率を比較した結果, 輸血責任医師不在の300床以上の医療機関において, 濃厚赤血球液 (RBC) 及び新鮮凍結血漿 (FFP) の廃棄率が多く, FFP使用単位数/RBC使用単位数が統計学的有意差はないものの, より多い傾向が認められた (表6).
以上より, 輸血療法委員会を活用し, [安全かつ適正な輸血医療] を実践するために, 専任の輸血責任医師が重要な鍵を握るものと考えられた.

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© 日本輸血・細胞治療学会
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