日本輸血細胞治療学会誌
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新しく開発された新鮮凍結血漿解凍装置の性能評価
江月 将史川畑 絹代猪狩 次雄金澤 和彌大戸 斉
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2006 年 52 巻 6 号 p. 698-703

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抄録

新鮮凍結血漿 (Fresh Frozen Plasma: FFP) は採血後, -20℃以下で凍結保存される. 使用時には30~37℃の恒温槽で解凍されているが, その作業操作は病院施設により異なる. そこで今回, 新たに開発されたFFP解凍装置 (FP-40, 北陽電機/川澄化学) を評価した.
FFPは1単位 (FFP-1), 2単位 (FFP-2) 及び5単位 (FFP-5) 製剤を用いFP-40の解凍時間, 解凍時の水温の変動を評価した. また, 解凍後の凝固因子 (PT: プロトロンビン時間, APTT: 活性化部分トロンボプラスチン時間, フィブリノーゲン, 第V因子及び第VIII因子) を測定した.
標準的な恒温槽で解凍した場合, FFP-1を解凍するのに約17分かかったが, FP-40では約5分で解凍が可能であった. FP-40の解凍能力は, FFP-2で約9分, FFP-5で約15分であり, 4バッグまで同時に解凍しても解凍時間に影響を及ぼさなかった. また, 解凍時の水温は常に安定していた. PTはFP-40で88.2%, 恒温槽で81.7%であり, 有意な差が認められた (p<0.05). その他の項目 (APTT, フィブリノーゲン, 第V因子, 第VIII因子) では両解凍方法間に有意な差を認めなかった.
新たに開発された解凍装置はFFPを安定条件下で解凍でき, より短時間での解凍を可能にした. 病院内での操作性の統一や品質管理, 作業効率の向上の観点から, FFPを適正温度で安全・短時間で解凍できる専用装置の使用は有用であると考えられる.

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