2014 年 25 巻 3 号 p. 129-135
パン生地に使用される酵母は冷凍させる際の最低到達温度の低下によって失活する事が知られており,更に死滅した酵母から漏洩した還元物質によって生地構造の破壊が二次的に引き起こされる.本研究では,パン生地の冷凍工程における状態変化を数値解析による温度履歴から推測し,この最低到達温度の影響による冷凍障害を軽減させられる理想的な冷却方法を導くことを目的とした.
最低到達温度を調整して冷凍した生地について発酵によるガス生成量を調べた結果,著しく変化する温度の存在が確認できた.酵母の失活に至らない温度域での冷凍条件を数値計算から求め製パンした結果,酵母の失活温度に至らない温度条件下で良好な品質の製品が得られた.