2016 年 30 巻 2 号 p. 92-97
近年,真空断熱材の実用化が進み,冷蔵庫のような家電製品から保温・保冷ボックス,窓ガラスなどに至るまで,その応用範囲は益々広がる一方である.そして今後,住宅・建築関連の産業へも普及される可能性が出てきた.しかしながら,真空断熱材は外装材を使って真空封じされているため,外装材からの熱流入出が影響して,その熱特性,特に熱伝導率の評価を極めて難しくしている.本研究では,真空断熱材を伝播する熱量を,芯材部分(真空部分)を通過する分と,外装材を伝って流れる分とに分離できるとする簡単な仮定を導入することのみで,真空断熱材の芯材および外装材の熱伝導率を推定できることを,数値シミュレーションと実際の真空断熱材の適用によって示した.