2019 年 33 巻 4 号 p. 159-166
ガラス等の均質,緻密な半透明体の熱伝導は,熱伝導だけでなく熱放射を伴う.このような熱伝導/熱放射が共存する半透明体の定常状態における見かけの熱伝導率の必要性は高い.ラプラス変換を用いて,両端不透明層とした半透明体の一端を一定熱流束で加熱したときの時間無限大における温度式を求め,これから半透明体の定常温度分布式を導き,この温度分布の光学厚さおよび温度依存性を検討した.半透明体の定常温度分布より光学厚さ全領域の見かけの熱伝導率式を導き,見かけの熱伝導率の光学厚さが大きい領域および小さい領域の見かけの熱伝導率近似式を導いた.光学厚さが大きい領域の見かけの熱伝導率近似式はロスランド近似式と同じ傾向を示した.