熱物性
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細線加熱比較法による低熱伝導性薄膜の熱伝導率測定
徳田 満幾世橋 広
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1994 年 8 巻 3 号 p. 149-154

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抄録

薄膜の熱伝導率の測定方法については, これまでに数種の測定法が提案されているが, 工場生産ラインへの実施例は報告されていない. 本研究では, 低熱伝導性薄膜試料と熱伝導率既知物質との間に帯状の加熱用細線を形成した試料系を用い, 細線加熱比較法の原理に基づき細線を加熱し, その過渡的温度上昇より薄膜の熱伝導率を求めた. 熱伝導率が既知の物質には空隙のない板状の高純度石英ガラスを用い, その上にアルミニウムの薄い帯状の細線をフォトリソグラフィーにより形成したのち, その石英ガラス板上全体に供試薄膜をスパッタリング法により作製した. 細線の電気抵抗の変化に関わらずその細線に一定電力を供給できる高精度定電力電源を用いた. 細線の温度上昇は, その電気抵抗の変化から求めた. 本報では, 上述の方法により厚さが1μmから20μm程度までのSiO2膜の熱伝導率を測定した結果, ならびに測定値に及ぼす細線の厚みと幅の影響を検討した結果について述べる.

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© 日本熱物性学会
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