日本獣医麻酔外科学雑誌
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原著
脛骨高平部水平化骨切り術実施後の脛骨前方引き出し兆候に関する検討
一戸 登夢藤田 幸弘
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2023 年 54 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

脛骨高平部水平化骨切り術(TPLO)は脛骨前方引き出し兆候(TCDS)を除去することを目的としていないが、術後に消失する症例がいる。これは関節周囲の線維化の関与が疑われているが、確認されていない。前十字靱帯断裂(CCLR)に罹患し、TPLOを行った犬の35膝関節について術前、術直後、および術後3ヶ月まで毎月評価を行った。TCDSが消失した症例(消失群、13膝関節)とTCDSが残存した症例(残存群、22膝関節)に分類した。術後各時点における骨関節炎(OA)スコアを術前のOAスコアから差し引き、OAスコアの変化量を求めた。術前のOAスコア(消失群で高値)を除き、両群間に差は認められなかった。OAスコアの変化量は、両群共に経時的に有意な増加が見られ、残存群に比較して消失群で有意に高値を示した。TPLO後のTCDSの消失はOAの進行度合いと関連していることから、OAを進行させる要因が関節周囲の線維化に関与していると考えられた。

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© 2023 一般社団法人日本獣医麻酔外科学会
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