2008 年 14 巻 4 号 p. 191-194
6歳1カ月齢,雄のネザーランドドワーフ系ウサギが,1ヵ月前より急速に増大した皮膚の腫瘤を主訴に来院した。初診時,腹部の皮膚に直径約23 mmの球形を呈した腫瘤を認め,これを外科的に摘出した。摘出腫瘤の病理組織学的検査において,小型の基底細胞様腫瘍細胞が索状もしくは小結節状に増殖した像が認められ,毛芽腫と診断された。術後すでに1年以上が経過するが,自験例ではこれまで再発および転移のいずれも認められていない。ウサギの毛芽腫は胸側部と胸背部に好発するといわれているが,自験例では腹部に発生を認めたことから,発生部位を考慮すると比較的希な症例であると考えられた。