獣医臨床皮膚科
Online ISSN : 1881-2236
Print ISSN : 1347-6416
ISSN-L : 1347-6416
短報
低い総線量の放射線治療により症状が軽減した下垂体性副腎皮質機能亢進症の犬の1例
川野 浩志石川 剛司圓尾 拓也並河 和彦信田 卓男
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 18 巻 1 号 p. 23-27

詳細
抄録

ミニチュア・ダックスフント,オス,12歳が,鼻稜部,体幹部,足根関節部の皮膚病変,腹部膨満と多飲多尿(192 ml/kg/day)を呈して来院した。ACTH刺激試験では,投与前のコルチゾール値が12.1 μg/dl,投与1時間後が68.4 μg/dlであった。下垂体依存性副腎皮質機能亢進症(PDH)と診断し,小分割照射(毎週1回[6 Gy],合計3回[18Gy])を実施した。飲水量は徐々に減少し,約1年後には85 ml/kg/dayとなり,被毛も改善した。ACTH刺激試験では,投与前が6.3 μg/dl,投与1時間後が36.1 μg/dlであった。ACTH試験では依然高値であったが,PDHに対する低線量小分割照射は,臨床症状の改善には有効である可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2012 日本獣医皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top