抄録
アルパカの趾間には,細菌感染症や外部寄生虫症,接触皮膚炎,亜鉛反応性皮膚症など様々な炎症性疾患が発症する。これらの皮膚疾患を診断または治療法を検討するうえで,細胞診は迅速かつ経済的で,実際的な検査法である。しかし健常なアルパカの趾間の細胞診所見に関する既報告は過去に存在しない。そこで本研究では,30頭の健康なアルパカ(Vicugna pacos)を対象として,前肢および後肢の趾間の細胞診による評価を行った。酵母菌,グラム陽性球菌および桿菌,ならびにグラム陰性菌は一般的に認められ,これらの細胞数について前肢と後肢とで違いは認められなかった。炎症性疾患の存在や過剰な上皮細胞の存在は,異常所見であると考えられた。