2014 年 20 巻 3 号 p. 153-157
猫の足底に限局した石灰沈着症は稀な皮膚疾患である。今回我々は本症に罹患した2例を経験したのでその概要を報告する。症例は,慢性腎不全の高齢猫2例で,両後肢肉球に,膿瘍の自壊を伴う境界明瞭な半ドーム状の結節性病変が認められた。1例では自壊部より約4 mmおよび2 mmの結石が摘出され,分析結果は主にタンパク質を主成分としたリン酸カルシウム結晶であった。また,病理学検査では限局性石灰化症と診断された。もう1例は,病変部よりクリーム状の液体が認められ,塗抹はチョークを引いたようであり結晶の形態から限局性石灰化症と診断された。