抄録
獣医学文献においては,表皮基底細胞の空胞変性に関する重要性のみならず,定義についても未だ統一された見解が得られていない。本研究では各種炎症性皮膚疾患に罹患した229頭の馬と,健常な皮膚を有する27頭の馬を対象に,表皮基底細胞の空胞変性と明確に定義できる病理組織変化の発生率に関する後向き研究を行った。表皮基底細胞における空胞変性は免疫介在性皮膚疾患群と有意に関連して認められ,これらの症例では組織学的に境界部皮膚炎の反応パターンが認められた。前述の疾患群に含まれる疾患には,皮膚薬物有害反応,円板状エリテマトーデス,多形紅斑,全身性エリテマトーデスがみられた。