獣医臨床皮膚科
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症例報告
アポトーシス細胞が表皮内に検出された中毒性表皮壊死症の犬の1例
西山 武男伊從 慶太岩﨑 利郎西藤 公司
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2015 年 21 巻 2 号 p. 71-75

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抄録

過去の報告において,中毒性表皮壊死症(TEN)の犬では角化細胞のアポトーシスが認められなかったことが報告されている。本報告では,表皮内にアポトーシス細胞が検出された犬の1例について報告する。13歳,雌の雑種犬が,主に腹部皮膚や可視粘膜に急性かつ広範な紅斑,水疱および潰瘍を認めたとのことで来院した。本症例では食欲不振および元気消失も認められた。本症例では皮膚症状が発症する5日前よりアモキシシリンが経口投与されていた。皮膚病変の組織学的検査では表皮全層にわたる凝固壊死やリンパ球の表皮内浸潤が認められ,これらの所見はTENに矛盾しないものであった。免疫組織化学染色により,浸潤していたリンパ球はCD3陽性であることが示された。さらに本症例では,アポトーシス細胞を示すTdT-mediated dUTP end labeling(TUNEL)陽性細胞が,角化細胞を含む表皮細胞中に認められた。上記の所見から,本症例ではT細胞に由来する表皮角化細胞のアポトーシスが,表皮壊死の病因となった可能性が示唆された。

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© 2015 日本獣医皮膚科学会
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