抄録
犬の脂漏性皮膚炎50頭に対しMalassezia pachydermatis抽出物を用いた皮内反応を実施した。M. pachydermatis抗原に対する即時型反応が50頭中17頭(34.0%)に,また遅延型反応が30頭中3頭(9.4%)に認められた。健常犬10頭にも同様の抗原を用いた皮内反応を施行したが,陽性反応はみられなかった。供試犬にシャンプー療法(二硫化セレン,クロルヘキシジン)を実施したところ,皮内反応陰性犬21頭中19頭(90.5%)が改善した。一方皮内反応陽性犬では9頭中3頭(33.3%)しか改善しなかった。シャンプー療法で改善しなかった症例は,その後使用した抗真菌剤(ケトコナゾール)が奏功した。以上より,M. pachydermatisは犬の脂漏性皮膚炎においてアレルゲンとして関与しうることが明らかにされた。