抄録
秋田駒ヶ岳山麓において哺乳類の生息環境を林相、高・中・低木密度、標高の5項目にわけ、生息密度に対する影響度を数量化I類で解析をおこなった。ノウサギでは林相、標高の要因の影響が大きく、立木の影響は少なかった。林相ではスギ林、ミズナラ林、牧草地、ブナ林の順で好まれていた。標高は800m以上がよく、ついで800-500m、それ以下と標高の高いほど好まれていた。低木密度は密、疎がよく、中は劣った。高木密度は密、中、疎の順で好まれていた。中木密度は密、中、疎の差はほとんど見られなかった。キツネでは、林相でブナ林、スギ林、牧草地、ミズナラ林の順で好まれていたがその影響差は僅かである。標高は、ノウサギと反対に標高の低い方が好まれていた。高木密度は、密ほど良いがその影響差は僅かである。中・低木密度の影響は殆どみられなかった。テン、カモシカについてはサンプル情報が少なく、結果は明瞭でなかった。