北海道夕張市に位置する夕張シューパロダムにおいて,コウモリ類による人工ねぐらの利用可能性を把握することを目的として,2009年~2010年に生息種の生態を考慮した人工ねぐら(筒形構造物,天井型構造物,壁型構造物)を廃トンネル内に設置した.すべての構造物で付着した糞や構造物直下に落下した糞がみられ,筒形構造物においては9月に休息している個体を確認した.3タイプの構造物はコウモリ類にとって有効なねぐらであると考えられるが,日中の休息は筒形構造物のみで確認されたことから,天井型構造物と壁型構造物は夜間の休息場所として利用されている可能性がある.今回試行した構造物は日中の個体の利用が非常に少なかったため,保温性や隠ぺい度を高めるなどさらなる構造の検討が必要である.また,野外でどのように利用されるかについても検証が必要であろう.