2018 年 43 巻 p. 31-35
森林面積の減少がタイリクモモンガPteromys volans雌の行動圏面積と利用形態に与える影響を明らかにするため,台風などで森林面積が減少した北海道帯広市の森林において,森林面積減少前(1992年10月)と減少後(2005年8月~10月)にそれぞれ雌2個体を捕獲し,発信機を装着して個体を追跡した.森林面積減少前の行動圏面積は2個体ともに2.7haであり,森林の中央で行動圏が分かれた.森林面積減少後の2個体の行動圏面積は1.4haと1.9haであり,行動圏は大きく重複したが,コアエリアには大きな重複がなかった.また,森林面積減少後には,森林面積減少前までに利用していなかった場所の防風林や河畔林も広く利用した.