2018 年 43 巻 p. 37-45
ツシマウラボシシジミPithecops fulgens tsushimanusの分布調査法として,タイムラプスカメラを用いて長期間の観察と記録が可能であるか検討した.長崎県対馬市内の3調査林にカメラ5台を,本種の寄主植物または吸蜜植物を対象として,日中のみ20秒の撮影間隔で39日間設置した.その結果,総撮影数約27万枚のうち629枚の画像が本種と同定された.撮影間隔を60秒に延長した場合,本種と同定された画像の検出率は26.5%に低下したのに対し,訪問の検出率は低下した程度が比較的少なく,68.8%であった.そのため,撮影間隔の延長を行っても分布の確認が可能であると考えられた.本種の撮影や同定が可能であった要因として,撮影対象とすべき寄主植物や吸蜜植物の種が明確,植物の上での滞在時間が比較的長い,翅の模様が特徴的,の3点が考えられた.