日本野生動物医学会誌
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原著
沖縄島産ハツカネズミ属(Mus spp.)におけるLeptospira抗体調査ならびにLeptospiraの分離調査
城ヶ原 貴通中村 正治盛根 信也石橋 治小倉 剛川島 由次織田 銑一
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2005 年 10 巻 2 号 p. 85-90

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抄録
沖縄島に生息するオキナワハツカネズミ(Mus caroli)ならびにヨナグニハツカネズミ(M. musculus yonakunii)における, Leptospira抗体の保有調査ならびにLeptospiraの分離調査を実施した。Leptospira抗体の保有率は, オキナワハツカネズミでは20.8%(n=77), ヨナグニハツカネズミでは33.3%(n=6)であった。また、抗体の保有が認められた血清型は, autumnalis, canicola, grippotyphosa, rachmati, castellonisおよびjavanicaであった。Leptospiraの分離調査では, 1.8%(n=112)のオキナワハツカネズミからLeptospiraが分離されたが, ヨナグニハツカネズミからLeptospiraは分離されなかった。分離したLeptospiraは, MATおよびflaB遺伝子配列に基づく同定の結果, 全て血清型castellonisと同定された。血清型castellonisは, 沖縄島では, オキナワハツカネズミとヒトのみからの分離例があるが, その他の動物からの分離例は無い。沖縄島において, オキナワハツカネズミが本血清型のヒトへの主要な感染源となっている可能性が示唆された。
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© 2005 日本野生動物医学会
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