抄録
動物園という職場においては,多大な業務の中で,種々の標本や資料が日々溜まっていく。これらが「溜まっていく廃棄物」となるか,それとも「貯められるべき標本やデータ」となるかは,それを扱う動物園職員の「意識」によって決められる。意識を持って取り組みさえすれば「動物園職員による研究」は困難を伴うかもしれないが,決して不可能なことではない。動物園という現場は,全てが知的好奇心をくすぐるものであふれている。我々現場で働くものが,そこここに転がっているであろう貴重なサンプルを埋没させることなく科学,そして社会に還元し,動物園機能の1つである,「研究」という役割を果たしていかなくてはならない。