2011 年 16 巻 1 号 p. 33-37
野生動物を絶滅から回避させるための1つの方策として,環境省レッドデータブックで絶滅危惧ⅠA類に分類されるツシマヤマネコの保全について講演および意見交換を行った。ツシマヤマネコを保全するためには,生息域内における周辺住民とツシマヤマネコとの関わり方,行政,地元の団体他関係者などを含めた対策,また,ツシマヤマネコの減少の1つの原因となっているイエネコからの感染症対策について獣医師による側面からの支援および野生復帰のための生息域外における動物園における飼育下繁殖事業などそれぞれの分野で今後も継続した対応が必要である。今まで日本国内での絶滅に瀕した哺乳類の野生復帰が成功した例がないなかで,今後の野生動物保全に対して本事業の役割は大きいものと考える。