日本野生動物医学会誌
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特集論文
野生動物の感染症管理にどのように取り組むべきか
高見 一利渡邊 有希子坪田 敏男福井 大祐大沼 学山本 麻衣村田 浩一
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2012 年 17 巻 2 号 p. 33-42

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抄録

 

 2010年度に,日本各地で野鳥から高病原性鳥インフルエンザウイルスが確認され大きな問題となるなか,発生地や調査研究機関など各所で体制作りが進められた。日本野生動物医学会も,野生のツルへの感染が確認された鹿児島県に専門家の派遣を行い現場作業に貢献した。これらの取り組みから一定の成果が得られ,情報収集や体制構築の検討も進んだ一方で,様々な課題や問題点も明らかとなった。一連の活動や検討を踏まえた結果,野生動物感染症対策を効果的に促進するためには,感染症の監視と制御に役立つ体制を構築することが必要であると考えられた。従って,本学会は体制整備として,以下の取り組みを進めることを提言する。

1.野生動物感染症に関わる法律の整備

2.野生動物感染症に関わる省庁間の連携

3.野生動物感染症に関わる国立研究機関の設立

4.野生動物感染症に関わる早期警報システムの構築

5.野生動物感染症に関わる研究ネットワークの構築

6.野生動物感染症に関わる教育環境の整備

この提言は,本学会の野生動物感染症に対する方向性が,生態学的健康の維持にあることを示すものである。

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