日本野生動物医学会誌
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特集論文
横浜市立動物園における研究と保全についての取組み
松本 令以
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キーワード: 動物園, 研究, 野生生物保全
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2013 年 18 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

 動物園は,レクリエーション施設としてだけではなく,社会教育施設として,調査研究機関として,また自然環境や野生生物の保全のための中核施設として社会的に位置づけられており,飼育係,獣医師,教育普及担当者などの動物系技術職員がそれぞれの専門業務を行うとともに,動物学,獣医学,教育学などの分野の様々な研究を自ら,あるいは大学などの研究機関と共同して行っている。横浜市立動物園では,(独)国際協力機構(JICA)の支援を得たウガンダ野生生物教育センターへの技術協力,同じくJICAの支援を得たインドネシア・バリ島へのカンムリシロムクの野生復帰,横浜市内で野生絶滅したミヤコタナゴの飼育下繁殖など,いくつかの野生生物保全活動も行っている。一般市民からは,動物園は単なるレクリエーション施設として捉えられがちであり,飼育係といえば,単に動物の世話をする人というイメージも強い。しかし動物園は,立派な自然科学系博物館であり,そこに働く動物系技術職員は学芸員と同等の業務を行っている。特に公立動物園では,管理運営の大部分が市民の税金を用いて行われているため,市民に対する社会教育,自然環境や野生生物の保全思想の普及啓発などの公益的成果をあげることが期待されている。

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