日本野生動物医学会誌
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原著
飼育下霊長類のドライケミストリーによるCRP測定の臨床診断への応用
村田 浩一
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1997 年 2 巻 1 号 p. 53-57

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抄録

抗ヒトCRPモノクローナル抗体による免疫多層フィルム法でサルCRP値の測定を試みた。試料として飼育下の霊長目6属12種47個体から採取した血清もしくは血漿67検体を用いた。マカク属, オナガザル属, テナガザル属およびチンパンジー属の健康個体はすべて1.0mg/dlを示した。よって, この境界値を本法によるCRP陽性値とするのが適当と考えた。抗ヒトCRP抗体を用いた本法によるCRP測定は簡便かつ迅速であり、霊長目の動物の臨床診断に利用できる。しかし, 腸炎や肝炎などを呈した疾病個体に1.0mg/dl以下の値のものが認められ, ヒヒ属では健康個体にも関わらずCRP高値を示していた。本法による診断と応用については, 動物種もしくは属別の検討が必要である。

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© 1997 日本野生動物医学会
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