日本野生動物医学会誌
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原著論文
行動的保定を用いて6種の動物園飼育動物より得られた血液検査値について
川瀬 啓祐木村 藍椎原 春一
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2018 年 23 巻 1 号 p. 7-14

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抄録

 ツキノワグマUrsus thibetanus,キリンGiraffa camelopardalis ssp.,トラPanthera tigris ssp.,ライオンPanthera leo 2個体,サバンナモンキーChlorocebus aethiops,マンドリルMandrillus sphinxの6種7個体に対してハズバンダリートレーニングを用いた行動的保定により定期的に採血を行い,血液学検査値および血液生化学検査値を得た。得られた血液検査値を既報と比較したところ,少なくともツキノワグマ,キリン,マンドリルにおいては,ハズバンダリートレーニングを用いた行動的保定による採血はストレスが少ないと推察された。本報告は日本国内において,上記の動物種における行動的保定で得られた血液検査値の初めての報告である。また,定期採血が可能となることで,各個体の健常値を得ることができ今後の飼育管理や健康管理に役立つものと考えられる。

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© 2018 日本野生動物医学会
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