日本野生動物医学会誌
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特集論文
京都市動物園における研究・教育体制
伊藤 英之
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キーワード: 学術機関, 研究, 動物園
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2019 年 24 巻 3 号 p. 109-113

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抄録

 2008年に京都市と京都大学は,京都市動物園と京都大学野生動物研究センターをそれぞれの中核として,「野生動物保全のための研究と教育に関する連携協定」を締結した。本協定に基づき,京都大学の教員が京都市動物園に常駐し,研究・教育活動を実施してきた。2013年に学術研究と環境教育をより一層推進するために動物園内に研究・教育機関「生き物・学び・研究センター」を設置するとともに,当時京都大学野生動物研究センターの准教授が京都市動物園生き物・学び・研究センター長として着任した。2017年6月には文部科学省の競争的学術研究費である科学研究費等補助金(科研費)を申請できる「学術研究機関」として同省の指定を受けることを目指し,「生き物・学び・研究センター」に職員を増員し,博士号取得者5名の体制となった。2018年1月に科研費取扱規程に規定する研究機関の指定を受け,科研費への申請が可能となった。今後は,科研費等の外部資金を獲得し,希少動物の研究を一層推進し,その成果を,飼育動物の長寿命化や繁殖の成功率向上等の種の保存の取組,動物福祉の向上に生かしていくことが目的となる。研究体制を構築したことにより,京都市動物園は国内で有数の動物園研究機関になったと思われる。本稿では,京都市動物園における研究・教育体制,研究機関としての現状と課題について紹介する。

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© 2019 日本野生動物医学会
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