本研究では,ニホンジカの嗅覚器のGタンパク質の存在を明らかにするため,免疫組織化学的な検討を行った。その結果,嗅上皮の自由縁にはGαs /olf 抗体陽性反応, 鋤鼻感覚上皮の自由縁にはGαi -2抗体陽性反応が観察され,いずれの上皮自由縁にもGαo抗体陽性反応は観察されなかった。したがって,シカの嗅上皮には匂い受容体,鋤鼻器には1型鋤鼻受容体を発現した嗅覚受容細胞が分布していることを示唆する。これにより,ニホンジカの嗅覚器には多くの哺乳類と同様の受容体が発現しており,多くの哺乳類と類似した嗅覚構造を持つことが示唆された。
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