2019 年 24 巻 3 号 p. 123-126
2015年9月北海道斜里町で捕獲されたエゾヒグマを剖検したところ小腸より大型の条虫を検出した。頭節の形態および生殖器の配置から,Dibothriocephalus属と思われた。虫体の一部からDNAを抽出し,核28S ribosomal RNA geneおよびミトコンドリアcytochrome c oxidase geneの一部を解析した。その結果,DNAデータベース上の日本海裂頭条虫のものとほぼ一致し,本種を日本海裂頭条虫と同定した。本症例は,エゾヒグマから検出された条虫を日本海裂頭条虫と同定した初めての報告である。