日本野生動物医学会誌
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総説
アジア産リス科動物の染色体および核型進化
押田 龍夫吉田 廸弘
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1999 年 4 巻 2 号 p. 135-141

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抄録

リス科全体のおよそ40%の種が分布するアジアは, リス類の研究を行う上で非常に重要かつ興味深い地域である。しかしながら, アジア産のリス類は, これまでに系統学的・進化学的視点からほとんど研究されておらず, その系統関係については多くの問題が残されたままである。著者らは, これらアジア産リス類の系統進化の過程を明らかにするために, 染色体の各種分染法および遺伝子の比較マッピングを用いた核型進化の解析を行っている。これまでに報告されている知見と近年著者らによって新たに得られたデータから, (1)アジア産の滑空性・樹上性リス類の核型は両腕性の染色体ではほとんど占められていること, (2)滑空性リス類では染色体の属内保存性が極めて低く, これに対して樹上性リス類では属内保存性が極めて高いこと, また(3)滑空性リス類の核型中には特徴的な二次狭窄または長い柄部を有する付随体が共通して見られ, この長い柄部を伴った付随体は樹上性リスであるタイワンリス属の核型中にも認められることが明らかになった。今後さらに多くのアジア産リス類の染色体を分析することによって, リス類の系統および進化の過程がより明確になり, また同時に, 細胞遺伝学的に重要な多くの知見を得ることができるであろう。

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© 1999 日本野生動物医学会
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