舌癌の切除マージンは硬結部より安全域を設けて設定されるが、現在のところ術者の手指感覚によって決定されることが多く、術者の経験や主観によるばらつきが生じる可能性がある。特にT1やT2症例において適切な切除マージンを設定することは、確実な切除と機能温存とを両立させるために重要である。今回われわれは、術中に超音波断層画像(US画像)を観察しながら舌癌の深部マージンをマーキングする方法を考案し、その有用性を検討したので報告する。方法はUS画像で舌癌の浸潤範囲を観察しながらUSガイド下に腫瘍の発育先端より10mm深部にマーカーを留置し、US画像でマーカーの位置を再確認後、それを指標として腫瘍の切除を行った。切除した標本を直ちにゼラチンに包埋し、US画像で観察した。その後病理切片を作成し、切除マージン設定の正確さを検証した。結果としてゼラチン包埋による切除標本のUS検査により病理標本とほぼ同じ形態のUS画像が得られ、より正確な比較が可能となった。症例によりややばらつきはあるが、比較的正確に腫瘍の浸潤範囲を描出していた。