九州歯科学会総会抄録プログラム
第66回九州歯科学会総会
セッションID: O-6
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FGF-2徐放性ゼラチンハイドロゲル粒子が歯髄創傷治癒に与える影響
*菊池 直樹諸冨 孝彦北村 知昭寺下 正道
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抄録

歯髄再生療法の確立を目的として、FGF-2を徐放するドラッグデリバリーシステムとしてのゼラチンハイドロゲル粒子(ゼラチン粒子)の象牙質・歯髄複合体への応用を検討した。ラット上顎第一臼歯に生活歯髄切断を行い、FGF-2含浸ゼラチン粒子(投与群)または非含浸ゼラチン粒子(非投与群)をコラーゲンスポンジにそれぞれ混合したものとゼラチン粒子を含まずFGF-2とコラーゲンスポンジを混合したもの(非含浸群)を窩洞に充填し二重仮封を行い、術後1、3、7、14、21日目で固定後、組織学的に検討した。術後1日では3群の間に大きな差異は認められなかった。3日目では投与群窩底部において血管新生を認めたが、非投与群と非含浸群では認めなかった。7日目には投与群では血管に加え密な結合組織の構造が認められるようになった。非投与群と非含浸群では窩底部に血管新生を認めたものの、結合組織の形成は疎であった。14日目には投与群で石灰化粒様構造物を認めた。21日目には投与群では多くの石灰化粒様構造物が観察された。非投与群では歯髄組織増殖を認めたが、石灰化粒状構造物は認めなかった。FGF-2含浸ゼラチン粒子から徐放されたFGF-2は歯髄創傷治癒過程初期において歯髄組織の増殖、血管新生を誘導し、その後石灰化組織形成を誘導することが示唆された。さらにゼラチン粒子からの徐放が無ければ、FGF-2は急激に放出されてしまい、組織再生を誘導しにくいことも示唆された。

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© 2006 九州歯科学会
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