1997 年 47 巻 3 号 p. 116-122
情報主体としての市民・生活者の視点と位置づけを決定的に欠いた従来の地域情報化論の帰結として, 地域社会における市民の多様な諸活動と結び付いた地域情報基盤整備はきわめて立ち遅れている. そこで重要なのが, 地域社会のネットワーク化とボランタリーな市民活動の方から地域情報(化)のあり方を考察することである. そこから見えてくるのは, 自ら生活と社会のデザインを行なおうとする人びとによる生活の場からの多様多層な「地殻変動」にもとづいた多元的な社会経済システムに見合う地域情報化の必要である. 特に, 複合的なネットワーキングやNPOなど民間非営利の「市民セクター」を支えるものとして, その重要性はきわめて高い.