情報の科学と技術
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特集:学術コミュニケーションにおけるブロックチェーン技術
  • 今満 亨崇
    2024 年 74 巻 3 号 p. 79
    発行日: 2024/03/01
    公開日: 2024/03/01
    ジャーナル フリー

    新しい情報技術・概念は日々提唱・実装されています。それがインフォプロの業務に関わるものであれば,早い段階から概要を把握し,その動向を注視しておいたほうが良いのは言うまでもないことでしょう。

    ニュースでは「ブロックチェーン」「暗号通貨」「ビットコイン」「web3」などといった単語かたびたび聞かれるようになりましたが,これらの概念が我々の暮らしをどのように変えるのか,特に日々の業務や学術コミュニケーションにどのような影響を与える可能性があるのかは,意図的に情報収集をしていないとイメージしづらい状況かと思います。そこで今回は「ブロックチェーン」に注目して特集を企画しました。

    まずは坂下哲也氏(日本情報経済社会推進協会)に,ブロックチェーンとはどのようなものなのか,どのように社会実装が進んでおり,今後どのような活用が期待されるのかをご執筆いただきました。

    その上でここからは,ブロックチェーンが学術コミュニケーションに与える影響を考える記事をお願いしております。濱田太陽氏(株式会社アラヤ)にはブロックチェーンなどを用いて既存の科学の課題解決を目指す分散型科学(DeSci)と,その日本での取り組みであるDeSci.Tokyoについてご紹介いただきました。

    宮入暢子氏(学術情報コンサルタント)には人の識別子をテーマに,それが集中管理から分散へシフトしている流れと,その中でブロックチェーンが活用されていることをご紹介いただきました。

    川嶌健一氏をはじめとする株式会社NTTデータの皆様には,同社がバチカン教皇庁図書館と共同で実施している文化芸術継承支援の試みをご紹介いただきました。文化芸術継承を支援するコミュニティの形成にNFT(非代替性トークン)を用いることの実証実験を行っており,その成果がまとめられております。

    最後は弊誌編集委員が本特集を検討するに当たり行った情報収集の中から,「是非これは紹介したい」と考えたものを記事にまとめております。本特集の他の記事と合わせて紹介した記事をご参照いただけると,よりブロックチェーンが与える影響についての理解が深まると思います。

    ブロックチェーンを活用しようとする動きは少しずつ進行しています。本特集がブロックチェーンを,将来の業務に影響を与える技術として注視するためのきっかけとなれば嬉しく思います。

    (会誌編集担当委員:今満亨崇(主査),水野澄子,森口歩,野村周平)

  • 坂下 哲也
    2024 年 74 巻 3 号 p. 80-85
    発行日: 2024/03/01
    公開日: 2024/03/01
    ジャーナル オープンアクセス

    リーマン・ショックを起因に中央集権的金融システムの検証から生まれたビットコインに代表されるブロックチェーン技術は,プラットフォーマに依存する中央集権的なインターネット利用(Web2.0)の状況とも重なり,分散環境下でのインターネット利用(Web3)に適した技術の一つとして利用範囲が拡大している。ブロックチェーン技術は,楕円曲線暗号(ECC)を実装し,セキュリティ上強固な仕組みを保有している。その上で,トークンは暗号資産以外への適用も具体的に進み,NFT(非代替性トークン)によってデジタルデータの希少価値の創出,唯一無二性の保証なども可能になった。これらの技術の社会実装の主導権争いが世界では始まっており,日本も乗り遅れてはならないだろう。

  • 濱田 太陽
    2024 年 74 巻 3 号 p. 86-91
    発行日: 2024/03/01
    公開日: 2024/03/01
    ジャーナル オープンアクセス

    ビットコインの登場以降,基盤技術であるブロックチェーンの様々な領域での活用が試みられている。その中で,ブロックチェーンを利用し科学に応用する分散型科学(DeSci)が注目され始めている。国内でも,DeSci.Tokyo Conference 2023が実施され,取り組みが始まっている。本稿では,まず分散型科学についてその背景と取り組みについて説明する。そして,日本のハブであるDeSci.Tokyoのこれまでの活動について述べる。その中でDeSci.Tokyoが注目する領域,今後の活動についても取り上げる。これにより分散型科学が構築するエコシステムについて共有したい。

  • 宮入 暢子
    2024 年 74 巻 3 号 p. 92-98
    発行日: 2024/03/01
    公開日: 2024/03/01
    ジャーナル オープンアクセス

    社会のデジタルトランスフォーメーションが進む現在,デジタルアイデンティティの必要性が国際的に重要な議論となっている。自己主権型や分散型といった新しいアプローチによるデジタルアイデンティティのフレームワークは,社会経済基盤だけでなく,学術コミュニケーションのエコシステムにも影響を与えようとしている。本稿では,新しいデジタルアイデンティティの基本概念について先行モデルとの比較とともに概観し,研究者識別子が新たなモデルを採用することにより得られるメリットについて検討する。

  • 川嶌 健一, 長谷部 旭陽, 近藤 志帆, 佐藤 明世, 金子 雄飛
    2024 年 74 巻 3 号 p. 99-104
    発行日: 2024/03/01
    公開日: 2024/03/01
    ジャーナル フリー

    文化芸術の世代を超えた継承という課題,特に文化機関の経済的・人的リソースに関する課題に対して,非中央集権,パーミッションレス,ネイティブ決済,トラストレスなどの特徴を持つWeb3のコンセプトが,人間の活動の面でこれを支援しうる,新しいコミュニティを可能にするのではないか。本稿は文化芸術継承の活動が利用できる,公共的なデジタル基盤としてのWeb3の可能性と,これを利用した貢献と支援に動機づけされたコミュニティ活動創出の仮説について述べる。また,バチカン教皇庁図書館において実施した,NFTを用いた支援コミュニティ創出の実証実験の結果について報告する。

  • 今満 亨崇
    2024 年 74 巻 3 号 p. 105-107
    発行日: 2024/03/01
    公開日: 2024/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
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