情報の科学と技術
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最新号
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特集:図書館員のための研究評価
  • 渡辺 麻子
    2026 年76 巻7 号 p. 299
    発行日: 2026/07/01
    公開日: 2026/07/01
    ジャーナル 認証あり

    近年,研究評価のあり方をめぐる議論は,国内外を問わず大きく変化しています。かつては,論文の被引用数やインパクトファクターといった定量的メトリクスに基づく評価が重視され,研究成果の質や影響力を測る代表的な指標として広く用いられてきました。しかし,こうした数値指標への過度な依存に対する反省も生まれ,研究の多様性や長期的価値を十分に反映できていないのではないかという問題意識が共有されるようになっています。現在では,DORA(研究評価に関するサンフランシスコ宣言)に示されているとおり,研究成果そのものの内容や社会的意義を重視するなど,より多様で包括的なアプローチが模索されています。

    研究推進のキーワードとして「オープンサイエンス」が広く語られ,研究データの公開や研究プロセスの透明化が進められる一方で,「経済安全保障分野における閉じた科学」という新たな課題も浮上しています。国際的な研究協力が進展する中で,技術流出や安全保障上のリスクへの対応が求められており,国際共著をどう考えるか,研究成果やデータの公開範囲をどのように設定するかが重要な論点となっています。

    また,研究の「社会経済インパクト」にも注目が集まっています。その定義や評価方法については依然として議論が続いていますが,研究成果が社会や産業,政策形成にどのような変化をもたらしたのかを示すことは,研究活動の意義を社会に説明するうえで重要な観点です。従来の学術的影響力に加え,社会実装や地域への貢献など,多様な価値をどのように可視化し評価するかが問われています。また,定量化が難しいとされる人文社会科学分野の評価のあり方や,研究者自身の視点やナラティブをいかに評価プロセスに取り入れるかも重要なテーマです。研究評価は単なる順位付けではなく,研究の質を高め,持続的な発展を支える仕組みとして捉える視点が求められています。

    こうした変化の中で,図書館員はどのように研究者を支援できるでしょうか。本号では,最新の研究評価に関するトピックを取り上げ,研究支援を考えるためのヒントをお届けします。皆さまの業務や発想の一助となれば幸いです。

    (会誌編集担当委員:渡辺麻子(主査),尾鷲瑞穂,野村周平,吉村雄太)

  • 林 隆之
    2026 年76 巻7 号 p. 300-305
    発行日: 2026/07/01
    公開日: 2026/07/01
    ジャーナル 認証あり

    本稿は,責任ある研究評価(RRA)の国際的展開を概観し,評価指標の適正化をめぐる議論が,オープンサイエンス,多様性・包摂性,社会的インパクトを含む研究文化・研究システム改革へと拡張してきた過程を整理する。さらに,ナラティブCV等の具体的手法の実装が進む一方で,望ましい研究や研究文化のあり方をめぐって異論が生じうることを示す。日本では,研究力強化や重要技術領域の発展が科学技術・イノベーション政策の中心課題となっており,国際的な理念を踏まえつつ,日本の文脈に即した研究評価改革の方策を検討する必要があることを示す。

  • 安藤 聡子
    2026 年76 巻7 号 p. 306-311
    発行日: 2026/07/01
    公開日: 2026/07/01
    ジャーナル 認証あり

    近年の研究評価をめぐる議論を踏まえ,代表的な研究評価指標の基本的な位置づけと役割を整理した。論文数,被引用数,ジャーナル・インパクトファクター,分野正規化指標であるCNCI,トップ1%・10%論文率,国際共著率など,実務で用いられている指標について,その算出背景と解釈上の留意点を概観する。あわせて,社会的インパクトやオープンアクセスを含む新たな評価視点にも触れ,単一指標への依存を避け,評価目的に応じて多面的に指標を活用することの重要性を論じる。

  • 浅谷 公威
    2026 年76 巻7 号 p. 312-318
    発行日: 2026/07/01
    公開日: 2026/07/01
    ジャーナル 認証あり

    経済安全保障を背景に研究セキュリティ政策が拡大し,議論は「開かれた科学」と「閉じた科学」の二項対立に陥りがちである。しかしサイエンスオブサイエンスによる大規模学術データの解析は,「開かれた科学」の内側にある閉じた信頼サークルに,研究アジェンダの形成や政策影響力が集中する傾向を示す。経済安全保障政策を実効的に進めるには,閉じる対象の見極めとともに,信頼サークルへのアクセスを通じて技術力と国際影響力を高める取り組みが必要である。また,基礎研究者の非対称な影響力に関する筆者らの分析は,基礎研究を開放すべきという米国・EUの論調と整合し,日本の研究機関への示唆となる。これらをふまえ,分野別リスクに応じた制度設計と,関係的評価指標の併用を提起する。

  • 佐々木 結, 仲野 安紗, 橋爪 寛, 藤川 二葉
    2026 年76 巻7 号 p. 319-324
    発行日: 2026/07/01
    公開日: 2026/07/01
    ジャーナル 認証あり

    本稿は,大学における研究評価を,組織が知の価値を再定義する主体的なプロセスとして捉え直し,京都大学の「COMON」の設計事例を通じてその可能性を考察するものである。現在,大学評価においては「監査文化」とも称される定量的・形式的な管理手法の弊害が課題となっている。これに対し,本稿は評価を管理の道具に留めず,研究環境の質を向上させるための「対話の基盤」へと再編する意義を展望し,国内外の改革ネットワークとの協働や,学内での熟議を通じた形成的評価の構築過程を詳述する。数値指標のみに依存しない評価文化の醸成に向けた実践的な知見を共有し,今後の評価のあり方をめぐる,対話と実践を誘発する契機となることを目指す。

  • 広岡 博之
    2026 年76 巻7 号 p. 325-328
    発行日: 2026/07/01
    公開日: 2026/07/01
    ジャーナル 認証あり
連載:続・オープンサイエンスのいま 第25回
事例報告
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