「フィルム・アーカイヴ(ズ)」という用語は日本人にとって比較的新しいものだが, 本論はその前半で, 国際フィルム・アーカイヴ連盟(FIAF)に加盟する映画保存機関の名称を比較しながらこの用語を吟味し, また, 後半では, インド, アメリカ, 日本を含む世界の各自国映画の残存率を検証して, 映画遺産のたどった悲惨な歴史の一部を明らかにする。著者は結論として, デジタル時代にこそ, フィルム素材がフィルム・アーカイヴによって<モノ>として維持管理されなければならないことを強調している(本文外に最新の「FIAF概要」が訳出されている)。