情報の科学と技術
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特許調査の現状と課題(<特集>特許調査の現状と課題)
下川 公子
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2015 年 65 巻 7 号 p. 276-283

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抄録

国内では,(独)工業所有権・研修館INPITから提供されてきたIPDLに代わって本年3月からJ-Plat-Patが提供されるようになった。海外では欧州特許庁(EPO)が商用データベースであるGlobal Patent Index(GPI)の提供を始めている。国内の商用データベースでは,PATOLISのサービスが昨年終了し,そのほかの提供会社間では再編の動きがあった。海外の商用データベースはコマンドラインのシステムを残すのはSTNのみになり,このSTNも数年のうちに新プラットフォームへ移行予定である。中国のCNIPRが,昨年から日本国内で日本版を有料で提供するようになり,生死情報で限定できることが新しい。ASEAN諸国や南米の特許情報は,各国特許庁の元データが整備されていないため,データとしてはまだまだ不十分である。これらのデータの整備については,各国特許庁の努力と日本の特許庁からの教育,支援が望まれる。特許分類はIPCよりも細分化されたCPC(Cooperative Patent Classification)が2013年からEPOと米国特許商標庁(USPTO)で付与が開始され,この動きは中国,韓国などに広がろうとしている。日本の特許庁はCPC採用の意向を示していないが,ユーザーとしては単一の特許分類で調査できることが望ましい。最後に,現在の海外商用データベースとそれを使う側の問題点についても述べる。

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