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特集:災害に備える
特集:「災害に備える」の編集にあたって
光森 奈美子
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2020 年 70 巻 9 号 p. 439

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抄録

2020年9月号の特集は「災害に備える」です。

近年,豪雨や地震など大規模な災害が立て続けに発生しました。2018年の西日本豪雨,大阪北部地震,北海道胆振東部地震,2019年の台風15号と台風19号による被害は記憶に新しいかと思います。2020年7月にも各地で豪雨災害が起こりました。また「コロナ禍」と称されるように,新型コロナウィルスの感染拡大を受けた一連の状況も災害ととらえることができます。

こうした災害時・非常時であっても,あるいは災害時・非常時にこそ情報は必要とされています。利用者の情報要求に応えるためには,資料を守るだけではなく,資料へのアクセスを確保しつつ,可能な範囲で業務を続けることも必要です。そこで今回の特集では,事業継続も含めた災害への事前の備えに焦点を当てました。

まず,名古屋大学 林秀弥氏には,防災・減災のための地区防災計画や事業継続計画(BCP)について,ICTの活用を交えつつ論じていただきました。常葉大学 小豆川裕子氏には,業務を続けるためのテレワーク環境整備についてご紹介いただきました。これらを合わせてお読みいただくことで,平時から備えるべきポイントや環境整備について知ることができます。次に,防災専門図書館 堀田弥生氏には,災害情報の入手方法や活用例をご紹介いただきました。東北大学 柴山明寛氏には,様々な自然災害デジタルアーカイブとその活用方法についてご紹介いただきました。自然災害に備えるために必要な情報を,どこから入手し,どのように活用できるのかという点について,2つの記事を参考にしていただければと思います。最後に,今般のコロナ禍においては図書館の休館・利用制限が相次ぎました。資料へのアクセスに困難が生じる一方,様々な形で有料コンテンツの無償公開も行われました。北海道大学附属図書館 山形知実氏には,非常時であっても資料へのアクセスを確保するという側面から,オープンアクセスについて論じていただきました。

9月は防災月間です。災害への備えに,本特集を役立てていただければ幸いです。

(会誌編集担当委員:光森奈美子(主査),海老澤直美,當舎夕希子,南山泰之)

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