人文科学分野におけるシチズン・サイエンスの実践例として,地域の歴史資料を翻刻して得たテキストデータを用いて固有表現抽出を行い,そのデータおよび記載内容を様々な人が利活用するきっかけを提供する「小城藩日記プロジェクト」の概要を述べる。本プロジェクトでは,自治体運営の古文書教室を通じて集まった参加者が地域特有の人名や地名などの固有表現収集に大きな役割を果たした。その際に生じた作業モチベーションの維持やデータの質の管理などの課題の解決について述べる。また,当プロジェクトで獲得した知見を基に新たに構築中のAI自動翻刻に必要な学習データ収集プロジェクトについても紹介する。