2024 年 74 巻 5 号 p. 161-168
本稿は,知識の組織化と哲学の関係について先に報告した論文で取り上げた「統合的レベル」概念についての更なる検討を行う。この概念は,知識の組織化システムとしての「統合的レベル分類(Integrative Levels Classification: ILC)」を中心となって構築してきたClaudio Gnoliが,知識の組織化と哲学,特に存在論との関係をどのように考えているかを検討する際に重要な概念である。ILCにおける「統合的レベル」と,Gnoliが影響を受けているNicolai Hartmannのレベルとの関連性を示すことにより,知識の組織化とGnoliの存在論の関係を検討する一助とする。