抄録
2020 年度に続き、所属大学の日本語教育プログラムでは 2021 年度の春学期と秋学期もほぼ全面的にオンライン授業が実施された。本稿は 2020 年度に実施した教員アンケート調査の結果から初級総合クラスの課題をまとめ、2021 年度のオンライン授業における「クイズ・試験の不正行為対策」の実践を報告した。また、教員が注意してもクイズや試験で辞書や翻訳ツールの使用が疑われる解答が見られたため、2020~2021 年度の間にオンラインで初級総合クラスを受講した学習者に「公平な評価」に関するアンケート調査を行ったところ、試験の際に辞書や翻訳ツールの使用が許容できると回答した学習者が一定数いることが明らかになり、教員が「不正行為」だと考える行為と学習者が考える行為とに齟齬が生じていた。事前に何が不正行為で禁止されているかを教員と学習者で共有する、クイズ・試験の際に時間制限を設ける、成績に占めるクイズ・試験の配分を下げるなどの対策を示した。