抄録
地すべり面のように低角度であって上盤と下盤で構造や岩相が明らかに異なっているとか, 深部に向かって消滅するようなものは, ノンテクトニック断層であることの確認が比較的容易であろう。しかし, 自然の露頭で観察される断層は一般にテクトニック断層かどうかの判定が難しく, その成因が争点となることも少なくない。ここでは, 一見テクトニック断層のように見えるが, 実際は地すべり運動によって形成されたと考えられるノンテクトニックな断層について報告する。富山県内で発見された2つの事例について報告し, そのメカニズムについて考察する。いずれも数本の断層が組み合って特異な「地すべり構造」を形成しているものである。一つは地すべりによる地溝部に形成された「ステップ断層」であり, 他の一つはすべり面の起伏によって形成されたと考えられる「ピアスメント構造」である。