日本地すべり学会誌
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論文
三重における岩相と斜面破壊形態の特徴
相澤 泰造酒井 俊典林 拙郎
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2009 年 46 巻 1 号 p. 35-42

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抄録
本論文は, 岩相と斜面の変形や破壊形態の特徴を三重県の事例について過去約15年にわたる事例をもとに明らかにした。堆積岩と結晶片岩は層理面や片理面を主なすべり面とし, 複合すべり, 平面すべり, くさびすべりを発生する場合が多いことが判明した。また, 受け盤の斜面, 法面ではトップリングを発生する場合があることが分かった。火成岩は風化の程度や節理面の発達により破壊形態に特徴があることが明らかになった。領家帯の花崗岩類は風化しマサ化すると複合すべりを発生する場合が多いことが明らかとなった。熊野酸性岩類の花崗斑岩は柱状節理をなす部分では大規模落石やブロック崩壊を発生する場合があることが判明した。低固結の湖沼堆積層では緩勾配の層理面でも複合すべりを発生する場合があることが明らかになった。このように, 三重で過去に発生した斜面の変形や破壊の形態は岩相ごとに特徴が見られることが判明した。
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© 2009 公益社団法人 日本地すべり学会
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