質量保存型-CIVA-安定化有限要素法による地すべりを起因とする造波解析

抄録

地すべり地塊の貯水池への突入を起因とする造波は, 高い標高域まで傾斜面を遡上するとともに波高の高い速度の大きな段波を生じる。このため大規模の造波災害をもたらし, その予測手法の確立が望まれている。そこで浅水長波方程式を用いて質量の保存性の保障と移流項の離散化に起因する数値振動とを抑制した安定化有限要素法による造波解析手法を検討した。当解析は地すべり地塊の貯水池突入を勘案するため連続条件の支配方程式を水面標高表示にし, 積分表示のCIVA法による質量保存の確保と水面標高の二次精度を確保することより得られる衝撃捕捉項を導入した。提案された手法は数値振動が少なく, 急傾斜面の移動境界部で解析が可能であること及びその有用性をモデル解析との比較を通して確認した。