日本地すべり学会誌
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総説
日本の地すべり研究の発展と未来-斜面変動場における地下水文・水理学の進展と今後の課題-
松浦 純生
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2012 年 49 巻 3 号 p. 95-105

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抄録
崩壊や地すべりなどに関わる山地斜面内部の地下水については, 1960年代から山地斜面での現地観測が盛んに行われ初め, 各種のモデルが多数開発された。1980年代以降は計測技術の発達により, 積雪期間や地震時における間隙水圧の変動データも得られるようになっている。最近では調査技術の進化に伴い斜面内部の地下水の流動過程なども可視化できるようになってきた。一方, 解析技術の高度化と計算機の高性能化は, 分布型モデルを用いた地下水の空間分布や流動方向の時間変化, さらには地下水排除工の施工による地下水位の変動解析を可能とした。今後の課題としては, これまで得られた観測データのデータベース化や類型化を進めるとともに, 水文地質構造を明らかにするための調査技術や亀裂性岩盤, 風化岩等における三次元地下水流動解析技術の高度化を推進する必要がある。また, 表層崩壊や深層崩壊, 再活動型地すべりのいずれも, 流動化した土砂は長距離にわたり流下するとともに広範囲に拡散し, 大きな被害を与える。このため, 室内実験や数値実験により移動体と間隙水の相互作用についての研究を重点的に推進する必要がある。また, これまで得られた豊富な知見を体系化し, 「斜面変動場における地下水文・水理学」という新たな分野を確立したい。
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© 2012 公益社団法人 日本地すべり学会
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