日本地すべり学会誌
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研究ノート
地すべり運動を磁気特性から探る
-リングせん断試験の供試体を用いた帯磁率および残留磁化実験による検討-
伊藤 孝村尾 英彦酒井 英男
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2019 年 56 巻 5 号 p. 264-272

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抄録

 すべり方向は大規模な地すべりの移動方向を解釈するための鍵である。一般的には, すべり方向はすべり面の条線, あるいは粒子配列から測定されてきた。しかし, 地すべりからすべり方向を解読することは依然として容易ではない。本研究では, リングせん断試験の試料を用いた岩石磁気測定からすべり方向を測定するための迅速な方法を示す。

 せん断試験を行った供試体から採取した試料では, 帯磁率異方性の最大軸はせん断方向である円型供試体の接線方向を向き, せん断試験を行っていない供試体試料の最大軸が一定方向にそろっているのとは明らかに違っていた。残留磁化の方向も, せん断試験を行った多くの試料では, せん断方向である円型供試体の接線に近い方向を向き, 帯磁率異方性の測定結果と同様な結果が得られた。これらの結果は, リングせん断試験により供試体の磁性粒子が円周方向に配列したことを示している。本研究は, 磁気特性からすべり運動の方向を再現できる可能性があることを示している。

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© 2019 公益社団法人 日本地すべり学会
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