1976 年 13 巻 3 号 p. 14-15_1
地すべりは, かつてすべった所が再びすべることが多く, ある周期で移動していると考えられる。
富山県東部の地すべり地帯で, 地すべりによって埋没した埋れ木の年代を測定したところ, 池田のクロンボ池で1350±110Y.B.P., 上市町あわら湶田で1120±80Y.B.P, 同町釜池近くのA点では1250±95Y.B.P, 1050±90Y.B.Pの年代を得た。また入善町舟見の藤保内神社の縁起にも830A.D. に地すべりにより遷宮したという記録がある。これらの年代はいずれも1100~1200年前に地すべりのあったことを示している。A点の花粉分析は1100~1200年前の気候は現在より幾らか低温を示し, 長雨や多雪で地すべりや山崩れが発生し易い条件があっようで, 地すべりの周期性を示す資料を提供する。