地すべり
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兵庫県船木地区地すべり移動観測結果からみた地塊の平面的回転運動
佐々木 一郎新谷 融
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2000 年 37 巻 2 号 p. 55-61_1

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抄録

地すべり形態分類の運動要素となる地塊の平面的回転運動を検証するために, 兵庫県船木地区地すべり観測結果を分析した。当地すべり地は, 移動量が最大30cm程度であったが, 移動杭観測結果から主地すべり地塊, 引張変形地塊, 圧縮変形の3領域に区分され, 移動杭観測結果と孔内傾斜計観測結果により, それぞれの領域で平面的回転運動が認められた。当地すべり地は, 右側部が横ズレ徴候の雁行状亀裂となり, その延長線上で圧縮性隆起が顕著となる等の特徴が現れたが, これは, この左廻り平面的回転運動によって説明できる。従来, このような現象は捨象されてきたが, 各観測結果を評価し地すべり運動機構を検討するに当たっては, 平面的回転運動様式の認識は重要である。

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© 社団法人日本地すべり学会
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