日本地すべり学会誌
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四国御荷鉾地すべりの多様な生態系
稲垣 秀輝小坂 英輝平田 夏実草加 速太稲田 敏昭
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2004 年 41 巻 3 号 p. 245-254

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抄録

我が国は急峻な山岳地が多い。この山岳地の中で緩斜面の発達する地すべり地は地形・地質的な理由で多くの地下水をもち, 土壌も肥沃で重要な生活の場となっていることが多い。従来から我々はそこでの地すべり災害への対応策や, 地すべり現象と共存した暮らしや土地利用のあり方を研究してきた。今回, 四国御荷鉾地すべりを例として, 地すべり地域の植生を中心とした動植物の生態系調査を行なった。その結果, 地すべり地域では隣接する非地すべりの山岳地に比較して, その独特の地すべり地形や地質の特徴を反映して土地利用が多様であること, それに対応して二次的環境に関わるさまざまな植生相をもち, 動植物の多様性が高いことがわかった。
さらに, 地すべり地域という災害地の中での防災対策の必要性と, 急峻な山岳地の中で島状あるいは帯状に分布する地すべり地の多様な生態系を保全していくことの重要性について述べる。

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© 社団法人日本地すべり学会
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