抄録
重症下肢虚血症例における血行再建の手段として, 血管内治療は今日広く認知されるにいたった. その背景には, 過去10年ほどの間に血管内治療が大きく変化・進歩を遂げたことがある. 従来にはなかった新しいワイヤー操作法や末梢動脈穿刺法などが次々に考案され, 広く臨床の現場に浸透した. 加えて, 国内の医療機器メーカーが末梢血管治療に特化した優れたガイドワイヤーやマイクロカテーテルを数多く登場させてきた. この治療技術の進歩と急速なデバイスの改良とが相乗的に作用し, 下肢動脈病変に対する血管内治療の初期成功率を飛躍的に向上させることに繋がっている. 本稿においては, 重症下肢虚血症例の膝下動脈病変に対する血管内治療の現状について, 実際の症例を基に解説する.