2018 年 10 巻 1 号 p. 66-73
リンパ浮腫に対する圧迫療法による, 蜂窩織炎の予防効果を検証することを目的とした. 圧迫療法を実施したリンパ浮腫患者のうち, 外来経過観察期間が半年以上の82例110肢について検討した. 除外基準は, 悪性リンパ浮腫, リンパ浮腫外科的治療後, 予防的抗菌薬服用中, ABI 0.5未満とした. 当院受診前後の蜂窩織炎発生状況を比較した結果, 一肢あたりの平均発生回数は, 半年間で前0.71回, 後0.07回(p<0.001)と受診後が減少した. 平均再発回数は半年間で前2.8回, 後1.0回(p<0.01)へと減少した. また, 蜂窩織炎の予防効果は, 圧迫強度, 装着頻度, リンパ浮腫病期と関連がみられた. リンパ浮腫の病期に応じた圧迫療法は, 蜂窩織炎の予防に有効であると考えられた.