抄録
慢性腎臓病(CKD)患者は,高齢化や運動不足に加えて,尿毒症物質の蓄積,アシドーシス,炎症性サイトカインなどのためフレイル・PEWをきたしやすい.CKD患者ではPADの合併が高く,腎機能障害は新規PAD発症の危険因子である.CKD患者は,フレイルや糖尿病性神経障害のために間欠性破行などPADの症状が出にくいので,PADの診断が遅れないように留意する.CKD患者は,運動耐容能の低下やフレイル・PEWは生活の質や生命予後に大きな影響を与える.腎臓リハビリテーション(腎臓リハ)は,運動療法,食事療法と水分管理,薬物療法,教育,精神・心理的サポートなどを行う,長期にわたる包括的なプログラムであり,透析患者の筋量増加,栄養状態改善,QOL向上や生命予後改善をもたらす.また,CKD患者の腎機能を改善させ,保存期CKD患者の透析導入を先延ばしできる可能性が高い.高度腎機能障害患者指導加算として診療報酬にも収載され,腎臓リハのさらなる普及・発展が期待される.